February 03, 2007

「一茶」 藤沢周平

俳諧師・小林一茶の一生を赤裸々につづった小説で、現代で言えば独立系アーティスト/アスリートに相当する生き方に近いように思う。当時、前句付けという遊びが賭け事になるくらい流行ったようで、実家を追い出されるように奉公に出た一茶が、奉公先を転々とし、ついには賭けに身を投じるまで落ちてから、徐々に認められて行くところから始まる。

江戸で認められるべく奔走する様子が描かれ、パトロンを求めて旅三昧・旅先での無心の日々、徐々に老いていく様が身につまされて痛々しい。実家での財産分与・その後の不幸など自分だったらどうする的なことばかりで、アーティストとして生計を立てる生き方の難しさが痛い。

個人的には、老いて更に色々あったものの、幸せな人生を送れた人ではないかと思う。義母の辛さをなじって生きていたようだが、独立して切り開いた人生の価値は計り知れない。より安定した暮らしが出来る現在でも、そちらにはなかなか踏み込めるものではない。
(以上、2007年1月中に読了)

投稿者 nizumi : February 3, 2007 06:20 PM
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